認知症の原因となる4タイプの病気について解説

認知症には原因となる病気があるって聞いたけど、実際にはどういうこと？ざっくりと教えてほしい。

認知症の原因となる病気には、大まかに分けて4タイプが存在します。具体的な疾患名を挙げて簡単に説明していきます。

※以前、認知症専門医のもとで勉強していました。ここでは認知症に関して得られた知見などを少しずつ公開していきます。

認知症の原因となる4タイプの病気

まず大前提として、認知症という病名はありません。認知症とはあくまでも病気の症状であるため、認知症という症状には、必ず原因となる病気が存在します。まずは認知症の原因となる4タイプの病気を紹介し、次いで具体的な疾患名を列挙していきます。

内分泌疾患や代謝性疾患によって認知症を発症することがあります。ただし、そもそもの病気の頻度が低く、適切な治療により完治できる可能性が極めて高いです。

再発さえしなければ、基本的に進行することはありません。ただし2回目や3回目と再発したり、あるいは別の病気を合併した場合はその分だけ認知症の症状が加わっていきます。

脳細胞に異常タンパク質が蓄積し、正常な脳細胞が弱っていくことで発症します。急速に進行するものではありませんが、年単位で少しずつ進行していくのは避けられません。急速に進行する場合は何らかの病気を合併したり、何らかの原因でせん妄のような状態に陥っている場合があります。

病気自体が極めて稀ですが、患者は確実に認知症を発症します。週単位や月単位でみるみるうちに進行していくのが特徴です。

タイプ	割合
『認知症の進行が避けられない病気』アルツハイマー病、レビー小体型認知症、前頭側頭葉変性症	91％
『認知症の進行を食い止めることができる病気』脳梗塞、脳出血、脳挫傷など	6％
『認知症が完治できる病気』慢性硬膜下血腫、甲状腺機能低下症、ビタミンB群欠乏症・『認知症が急速に進行し続ける病気』ヤコブ病など	3％

認知症の原因となる病気は『認知症の進行が避けられない病気（アルツハイマー病、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症など）』が圧倒的な割合を占めていることがわかります。

認知症の原因となる4タイプの病気について紹介しました。安易に認知症だからと片付けるのではなく、原因となる病気を探ることが重要です。例外はありますが、病気に対して適切な治療が行われていれば、認知症が急速に進行し続けることはありません。

博野信次：臨床認知症学入門正しい診療正しいリハビリテーションとケア改訂2版, 金芳堂, 2007