【アルツハイマー型認知症】割合と危険因子について解説

認知症

認知症の中でもアルツハイマー型認知症が多いらしいけど、それに関する知識を教えてほしい。

情報量が膨大なのでいくつかに分けて解説していきます。今回はアルツハイマー型認知症の割合と危険因子についてです。

※以前、認知症専門医のもとで勉強していました。ここでは認知症に関して得られた知見などを少しずつ公開していきます。

アルツハイマー型認知症とは

アルツハイマー型認知症には高齢発症型と若年発症型に大別されますが、これからお話する内容は高齢発症型のお話です。

アルツハイマー型認知症は、脳細胞の中に異常タンパク質がごくゆっくりと蓄積されて発症する神経変性疾患です。10-20年が経過する中で、一定以上の異常タンパク質が溜まると、脳細胞の働きが低下して認知症の症状が少しずつ出現してきます。多くの場合は『もの忘れ(記憶障害』が初期症状です。

これは記憶を司る海馬に異常タンパク質が溜まりやすいことが原因で起こります。異常タンパク質がさらに溜まると、周囲の正常な脳細胞を巻き込んで死なせてしまいます。

それなら異常タンパク質を取り除けば治るのではないかとの意見もありますが、残念ながらそれは難しいようです。実際に取り除いた研究もありますが、完治には至らなかったとの報告があります。したがって、アルツハイマー型認知症では異常タンパク質の蓄積とともに、ごくゆっくりとした進行は避けられないのが現状です。

なんでもかんでもアルツハイマー型認知症のせいにしてはいけない

アルツハイマー型認知症では症状が加速度的に進行することはありません。突然進行したり症状の変化が起こったりしたときは、他の病気や薬の副作用を合併した可能性が極めて高いです。アルツハイマー型認知症自体は治らずとも、合併した病気は治せる可能性があります。なんでもかんでもアルツハイマー型認知症のせいにしてはいけません。

アルツハイマー型認知症の割合

認知症の原因疾患として、アルツハイマー型認知症が最も多く認知症全体の約70%を占めます。男女比はおよそ1:2くらいで、やや女性に多い傾向です。

アルツハイマー型認知症の5つの危険因子

危険因子とは『ある要因を有している人が、それを有していない人に比べて、ある疾患を発病する確率が高くなること』です。危険因子は発病に影響を与える要因ではありますが、必ずしも因果関係があるわけではない点に注意しましょう。アルツハイマー型認知症の危険因子と言われているものを以下に挙げます。

  • 加齢
  • 性別(女性)
  • 子ども時代の低教育歴
  • 頭部外傷の病歴
  • 遺伝性危険因子の存在(アポリポ蛋白Eのε4多型)

上位4つの危険因子に関しては生活歴などを振り返ればわかります。しかし、アポリポ蛋白Eのε4多型については血液検査をしないとわかりません。かかりつけ医に相談してみると良いかもしれません。

まとめ

認知症の原因疾患としてアルツハイマー型認知症が最も多く、認知症全体の約70%を占めます。男女比はおよそ1:2くらいで、やや女性に多い傾向です。アルツハイマー型認知症の危険因子として、加齢、性別(女性)、子ども時代の低教育歴、頭部外傷の病歴、遺伝性危険因子の存在(アポリポ蛋白Eのε4多型)が挙げられます。

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