【アルツハイマー型認知症】自然経過について解説

認知症

母親がアルツハイマー型認知症って診断された。とても不安なので、今後どうなるのか経過について教えてほしい。

アルツハイマー型認知症は初期、中期、後期、進行期のように経過していきます。その過程で陰性症状が進行したり、まれに陽性症状が現れたりします。図を用いてざっくりと解説していきます。

※以前、認知症専門医のもとで勉強していました。ここでは認知症に関して得られた知見などを少しずつ公開していきます。

陰性症状と陽性症状

陰性症状とは今までできていた能力の喪失であり、記憶障害や遂行機能障害、注意障害などがそれに該当します。一方、陽性症状とは今までになかった異常な言動や行動が出現することで、妄想や幻覚、興奮などがそれに該当します。

陰性症状と陽性症状について詳しく知りたい方は、下記のリンクをご参照ください。

アルツハイマー型認知症の自然経過

アルツハイマー型認知症では多くの場合が図のような経過をたどります。診断されてからの経過(寿命)は15年~20年くらいですが、もちろん個人差があります。50歳代~60歳代前半に発症する若年性アルツハイマー型認知症では、もう少し進行速度が速くなります。

初期

ほとんどの場合、物忘れを始めとする陰性症状から始まります。記憶を司る海馬という部分にアルツハイマー型認知症の異常タンパク質が溜まりやすいことが原因です。

初期では本人に対してなんとなく不自然さを感じつつも、生活場面で困ることはほとんどありません。おそらく「最近、ばあちゃんもボケてきたな~」程度にしか感じないと思います。したがって、初期では深刻に考えずに見過ごされがちになります。

若年性アルツハイマー型認知症の場合は状況が違います。家庭内では支障にならないような軽い物忘れや判断力の低下でも、仕事や社会活動の場面では深刻な問題を引き起こします。したがって家族よりも先に、友人や職場の同僚が異変に気付くこともしばしばあります。

中期

初期の終わりから中期の初めにかけて陽性症状が大なり小なり出現してきます。その典型が妄想です。中期では陽性症状が徐々に目立つようになり、やがてピークに達します。

ただし、陽性症状にはかなりの個人差があります。妄想のほかにも幻覚や興奮、脱抑制などありますが、すべての症状が同時に現れるわけではありません。

さらに症状の程度(中期のピークの高さ)にもかなりの個人差があります。多少の症状はあるけれども周囲が心得ていれば大したことはなかったり、激烈な症状のせいで一緒に生活するのが苦しかったりと様々です。

陽性症状が中期でピークに達することは事実ですが、そのピークは低い場合がほとんどです。むしろ、図の★印のように飛び抜けて強烈な方は少ないのです。でもそういった方はとにかく悪目立ちします。目立つが故に『アルツハイマー型認知症って恐ろしい…』と感じる方が多いのも事実です。でも割合だけでみれば非常に少ないので、極端に怖がることはありません。

後期

後期になると脳内の活動量が減ってくるため、それに伴って陽性症状も少しずつ減っていきます。陰性症状も一定の速度で低下していきます。語弊を恐れずに言うと『しぼんでいく』という表現がわかりやすいかと思います。

進行期

後期の後半以降、少しずつ身体症状が表れてきます。身体症状とは動作が鈍くなったり、転びやすくなったり、飲み込む力が弱ったりといった具合です。さらに数年が経過すると、いわゆる寝たきりのようになります。ただし、全員が進行期(寝たきり状態)になるわけではありません。多くは高齢で発症するため、個々の寿命自体が進行期まで届かないことがあるからです。

陽性症状がまったく表れない場合

全経過を通して陽性症状がまったく表れない方もいます。このような場合、重度になっても家族が認知症に気づいていないことがあります。陽性症状がなければ家族は困ることが少ないのがその理由でしょう。したがって、単に「年だから…」という理由で認知症が見過ごされてしまうのです。

まとめ

アルツハイマー型認知症の自然経過は初期、中期、後期、進行期に分けられます。初期は物忘れといった陰性症状から始まり、中期には妄想などの陽性症状が表れ、後期にはそれらの症状が減っていき、進行期には少しずつ身体症状が表われてきます。

アルツハイマー型認知症の経過はほとんどが一定のパターンをたどります。したがって過度に恐れずに、まずはきちんと理屈で理解しておくと心の準備ができてよろしいかと思います。

参考文献

博野信次:臨床認知症学入門 正しい診療 正しいリハビリテーションとケア 改訂2版, 金芳堂, 2007

コメント

タイトルとURLをコピーしました