【アルツハイマー型認知症】陽性症状について解説

認知症

母親がアルツハイマー型認知症って診断された。これからどんな症状が出てくるのか不安なので教えてほしい。

アルツハイマー型認知症の症状は陰性症状と陽性症状に大別されます。情報量が膨大になるため、今回は陽性症状に絞って解説していきます。

陰性症状について詳しく知りたい方は下記のリンクをご参照ください。

自然経過について詳しく知りたい方は下記のリンクをご参照ください。

※以前、認知症専門医のもとで勉強していました。ここでは認知症に関して得られた知見などを少しずつ公開していきます。

陽性症状|今までになかった異常な言動や行動の出現

陽性症状とは、今までになかった異常な言動や行動が出現することです。アルツハイマー型認知症における代表的な陽性症状と、陽性症状のせいで結果的に起こる日常生活への影響についてまとめました。

症状

  • 事実でないことを信じ込んで訂正がきかない(妄想)
  • 実際にはないものが見えたり聞こえたりする(幻視/幻聴)
  • 気分が不自然に暗く沈む(抑うつ)
  • 特別な原因がないのに息苦しさなどの不調を繰り返し訴える/落ち着かない(不安)
  • 手助けなどのサポートを嫌がって怒ったり強く拒んだりする(興奮)
  • 妙に怒りやすい/短気になる(易刺激性)
  • 深く考えずに衝動的に行動する(脱抑制)

結果的に起こる日常生活への影響

  • 目的もなくウロウロと歩き回る(徘徊)
  • 幻覚に引きずられて行動してしまう
  • 攻撃的な態度や落ち着きのない様子が家族を苛立たせる

ちょっとイメージしづらいと思うので例を挙げて説明します。

Aさんの訴え:『夫が私を置いて愛人のところへ遊びに行った』

夫はすでに亡くなっています。しかし、Aさんの記憶の中には夫が亡くなった事実がスッポリと抜けています。記憶がどこかで錯綜した結果、事実でないことを信じ込んでしまっている例です。この場合、家族がAさんは認知症を患っているのだと心得て接していれば、日常生活で大きく困ることはないと思われます。

Bさんの訴え:『嫁が財布を盗った』

これもよくあるパターンです。財布の置き場所を忘れて失くすこと自体は記憶障害によるものですが、失くなったものを盗られたと思い込んでしまい、周囲が訂正してもまったく聞き入れないのは妄想の症状です。この場合においても、家族がBさんは認知症を患っていることを心得ておくと対応がしやすいです。対応策としては、一緒に探してあげてそれとなく本人に見つけてもらうといった一芝居が有効です。

まとめ

アルツハイマー型認知症の陽性症状とは、今までになかった異常な言動や行動が出現することです。代表的な症状は妄想、幻覚、興奮です。ご家族からしたら、何かとトラブルやストレスの原因になりやすいのは事実ですが、極端に強い陽性症状の方はごくわずかです。悩む前に、まずはかかりつけ医に相談してみるのも良いでしょう。

参考文献

博野信次:臨床認知症学入門 正しい診療 正しいリハビリテーションとケア 改訂2版, 金芳堂, 2007

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