【中年太り】原因は3つ、対策は1つ

ダイエット

40歳過ぎてからお腹とか二の腕とかやばい…。健康のことも考えるとそろそろダイエットしないとかな。そもそもなんで中年太りになっちゃうんだろう。原因と対策を教えてほしい。

原因は基礎代謝の低下、太る遺伝子の存在、極端な少食が考えられます。対策はエネルギーを消費すること。これだけです。

前半に余談を挟みますが、今回はこんなテーマでお話していきます。

筋肉を落とさずに脂肪だけを落とすのは可能か

 結論から言うと可能です。ポイントは食べる量をあまり減らさないことです。

減量前に体脂肪が多いほど減量による筋肉などの除脂肪組織が減少しにくく、逆に体脂肪が少ない人が減量すると除脂肪組織が減少しやすい。

Forbesら(2000年)

肥満のほうが減量時に筋肉が落ちにくく、痩せ型のほうが減量時に筋肉が落ちやすいです。他にもエネルギー制限が大きいと減量中の除脂肪組織が減少すると言われており、要は極端な食事制限によるダイエットを行うと脂肪よりも筋肉が落ちやすくなります。ついやりがちですが、極端な食べないダイエットにはくれぐれも気をつけましょう。

繰り返しますが、筋肉を落とさずに脂肪だけを落とすのは可能です。重要なのは食べる量をあまり減らさないことです。そして食べる量を減らさずに減量するにはエネルギー消費量を増やすこと、つまり運動をするしかないのです。

中年太りはなぜ起こるのか

さて、ここからが本題。中年太りはなぜ起こるのでしょうか。原因は基礎代謝が減ること、太る遺伝子の存在、極端な少食の3つが考えられます。

原因➀:基礎代謝の低下

中年以降、ヒトは太りやすくなります。原因の一つとして基礎代謝の低下が考えられます。基礎代謝は40歳を過ぎたあたりから急激に減少し始めます。実際にどのくらい太りやすくなるのか具体例を見てみましょう。

20歳代40歳代変化程度
基礎代謝基準値(kcal/kg/日)24.022.3-7%
基礎代謝量(kcal/日)1,4401,388-102
基礎代謝量(kcal/年)525,600488,370-37,230
脂肪量に換算約5kg
20歳代と40歳代における基礎代謝の変化

体重60kgの場合、20歳代では1,440kcal/日であった基礎代謝が、40歳代では1,388kcal/日に減少します。一日あたり102kcalの減少です。これだけならば微々たるものですが、一年間に換算すると525,600kcalであった基礎代謝が、488,370kcalとなります。つまり、一年あたり37,230kcalも減少しています。

40歳代になっても20歳代と同じような食生活をしていると、一年間で37,230kcalのエネルギーが余ることになり、その余ったエネルギーは脂肪として蓄積していきます。

蓄積した脂肪量はおよそ5kgとなります。+5kgの体脂肪をまとった状態を想像できますか?明らかに見てわかるくらいの変化です。中年以降太りやすくなると感じるのは、気のせいではなく紛れもない事実です。

中年以降、基礎代謝が低下する理由

筋肉の減少が主な理由です。筋肉は加齢に伴って減少しますが、筋肉以外の組織の代謝量は加齢による影響をさほど受けないとされています。基礎代謝における筋肉の割合は大きいことから、中年以降に基礎代謝が低下するのは筋肉量が減ることが大きな原因と考えられます。逆説的に言えば、筋肉の減少を防ぐことさえできれば、基礎代謝の低下を抑えて太りにくい身体を獲得しやすいと言えます。

加齢による筋肉の減少はある程度仕方ありませんが、日常的に使うことで筋肉の減少スピードを緩やかにできます。いわゆる『貯筋』が大切です。今すぐ筋トレを始めましょう。とりあえず太ももとお尻の大きい筋肉を鍛えておけばOKです。

筋トレの話ついでに、筋肉は赤っぽいもの(赤筋)白っぽいもの(白筋)に分けられ、主に以下のような特徴があります。

【赤筋】
主に脂肪をエネルギー源として利用します。遅筋と呼ばれ、長時間にわたり力を発揮し続けるのに適しています。

【白筋】
主に炭水化物をエネルギー源としてよく利用します。速筋と呼ばれ、短時間に爆発的な力を発揮するのに適しています。

中年以降太りにくくするためには、ウエイトトレーニングのような強い負荷で白筋を鍛えて基礎代謝を上げるのも大切ですが、ジョギングなどの弱い負荷で長時間にわたり赤筋を使ったほうが、エネルギー代謝(エネルギーとして脂肪を使う)的には良いかもしれません。まあでも結局のところ、両者をうまく取り込んだ運動がベストですかね。

原因➁:太る体質の遺伝子の存在

どうやら遺伝的に太りやすいヒトはいるようです。太る遺伝子はいくつかあるようですが、β3-アドレナリン受容体がよく知られています。ここ数年、遺伝子検査がわりと手軽に行えるようになっており、おそらく遺伝子検査のジーンライフ遺伝子検査・DNA検査のマイコードが有名どころです。

太りやすい体質云々だけでなく、肌質や生活習慣病のリスクについても知ることができます。興味のある方は一度試してみても良いかもしれません。

さて話を戻します。アドレナリンは運動時に血中濃度が高まるホルモンで、心拍・血圧・血糖値を高めたり、脂肪組織に貯蔵してある脂肪を分解してそれらの脂肪をエネルギーとして筋肉へ供給する作用があります。

β3-アドレナリン受容体は脂肪組織に存在し、アドレナリンの刺激を受けると貯蔵されている脂肪を分解します。したがってβ3-アドレナリン受容体に遺伝子的な変異があると、脂肪組織がアドレナリンの作用を受けづらくなり、貯蔵されている脂肪が分解されにくいため、結果的に痩せにくかったり太りやすかったりします。

余談ですが、痩せにくく太りやすいのは裏を返せば飢餓に強いとも言えます。しかし食料に困ることのない現代の日本人にとっては、やはりあまり必要のない能力とも言えます。

原因➂:極端な少食は太りやすい

減量において食事制限は重要ですが、過度な食事制限をすると太りやすくなる可能性があります。

マラソンランナーにおいて、普段から少食だとトレーニング以外の時間帯におけるエネルギー消費量が少なくなり、省エネ型の身体になる。

Thompson JLら(1995年)

この現象は冬眠する動物と似ています。省エネ型といえば聞こえはいいかもしれませんが、これは摂取したエネルギーが消費されずに蓄積しやすい、つまり太りやすいということです。

省エネ型でも日常的に運動をしていればおそらく太りませんが、運動習慣のない省エネ型の人は気をつける必要があります。そして極端な少食は栄養面から考えてもおすすめできません。 

運動習慣のない省エネ型の人は悪循環に陥りやすい

➀エネルギーを消費しない→➁お腹が減らないから食べなくても大丈夫→➂省エネ型となりエネルギーが蓄積しやすい→➃太りやすい→以下➀~➃の無限ループ
なんとなくイメージできますかね。省エネ型の人はこのような負のサイクルを繰り返しています。省エネ型を脱却して太りにくい身体にするには、この負のサイクルをどこかで断ち切らなくてはいけません。

中年太りへの対策

ここからは対策ですが、対策は1つ。運動してエネルギーを消費することです。

対策:エネルギーを消費する

エネルギーを消費するためには、単純に筋肉量を増やす方法があります。

中高年男性が16週間の筋力トレーニングを行ない、その前後の体重や身体組成などを調べたところ、トレーニング前後で体重はほとんど変化しなかったが、体脂肪率は低下し、除脂肪組織量と安静時代謝は増加した。特に安静時代謝は一日あたり120kcal増加した。

Pratley Rら(1994年)

筋肉量を増やすことで基礎代謝量が一日あたり120kcal増えると、一年間で43,800kcal増えたことになります。体脂肪は1kgあたり約7,000kcalなので、単純計算をすると一年間に6kg以上の体脂肪が減少することになります。やや極論かもしれませんが、このことから筋肉量を増やす方法は有効であると言えます。

ちなみに120kcal分のエネルギーを消費しようと思うと、以下のような運動が必要です。

  • ジョギングなら20分程度
  • エアロビクスなら35分程度
  • 速歩きなら40分程度
  • 散歩なら90分程度

毎日できれば良いのですが、ぶっちゃけ時間はかかるし毎日はきついという方が大半でしょう。なのでそんなときは筋力トレーニングです。定期的に筋力トレーニングを組み込むことで筋肉量を増やし、運動ができなかった日でも運動した日と同じようにエネルギーを消費できるので大変おすすめです。

太りにくい身体にするための筋力トレーニングでは、ゴリゴリのムキムキになる必要はまったくありません。中高年になって減ってしまった筋肉を太りにくかった頃の量に戻せたらOKです。ただし、完璧に戻すのはちょっと大変なので、近づけることを目標にすると良いでしょう。

 もし本気で取り組むのならば、毎日時間をかけて運動しつつ、定期的に筋力トレーニングを行なって代謝量を増やし、適量の食事を取ることを心掛けましょう。大変ですけどね。以前、私が関わった方たちは多少日数がかかったものの、あまり無理なくダイエットに成功しています。

結果が出るにつれて皆さんイキイキとしてきたし、とても楽しそうに話してくれます。楽しめると継続するエネルギーになるし、褒められるとさらに頑張れるんだなと強く感じた瞬間でした。

まとめ

中年太りの原因は基礎代謝の低下、太る体質の遺伝子の存在、極端な少食が考えられます。対策はエネルギーを消費することです。今回は総論的なことしか触れていませんが、これらの知識はとても重要です。ふわっとでも良いので意識してみましょう。

参考資料

岡村浩嗣:ジムに通う人の栄養学, 講談社, 2013.

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